今は亡き、台湾の映画監督、エドワード・ヤンが1991年に発表した、傑作『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』。
BBCが1995年に選出した「21世紀に残したい映画100本」に台湾映画として唯一選ばれ、2015年釜山映画祭で発表された「アジア映画ベスト100」において、『東京物語』『七人の侍』『悲情城市』などと並んでベスト10入りするなど、映画史上に残る傑作として評価されながらも、日本では複雑な権利関係のため、長らく劇場公開もソフトの再販もなく幻の名作となっていました。
それがマーティン・スコセッシが設立したフィルム・ファウンデーションのワールド・シネマ・プロジェクトと米クライテリオン社との共同で、オリジナル・ネガより4Kレストア・デジタルリマスター版が製作され、2016年にはクライテリオン社よりブルーレイとDVDが発売。そして、エドワード・ヤンの生誕70年、没後10年となる2017年3月に、日本では約25年ぶりに236分の4Kレストア・デジタルリマスター版が公開されされました。
そしてWOWOWで放送されたのは、その236分版(3時間56分版)。
牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件
ひとりの少年が衝撃的な殺人事件を起こすに至るさまを、今は亡き台湾の天才映画作家E・ヤンが破格のスケールで鮮烈に描き、世界中を驚嘆させた現代映画の金字塔的傑作。
1960年代初頭の台北。14歳の少年シャオスーの通う夜間中学では、不良少年たちが複数の組織に分かれて対立し合い、シャオスーは“小公園”と呼ばれる組織に属する一方、悪友たちとバンドを組んで音楽活動にも励んでいた。“小公園”の本来のボス、ハニーがある事件を起こして逃走・潜伏している間に、組織内での跡目争いや敵対組織との抗争も激化する中、シャオスーはハニーの恋人のシャオミンに次第に恋心を抱くようになる
3時間56分の大作という事で、流石に一気に見ることはできず、2回に分けて鑑賞。
見ている時は、もっとカットして短くできるんじゃないかなと思いながらも、全てを見終わった後に、全てが必要だったんだと思わせる作品でした。
この映画には全てがある。
人生の一日を費やすに値する3時間56分だ。
というニューヨークタイムズのコメントも、見終わったは納得ができます。
ネタバレになるので内容についてはここでは触れませんが、「最後の衝撃的なシーン」も、不思議とすんなりと受け入れることができました。
「実際に起きた事件をもとにしている」という事を、最初から分かっていたのも大きいかもしれません。
ただ最初のうちは、登場人物や家族関係、人物関係が複雑ですんなり入ってこない部分もありましたので、視聴する際は、ある程度ストーリーを理解してみたい方がいいかもしれません。
私自身にとっても、その時代背景、相関関係を理解したうえで、もう一回見返したいと思わせてくれる作品です。