私はどちらかといえば幕末を描いた小説が好きなので、司馬遼太郎の作品でも、『竜馬がゆく』、『燃えよ剣』、『翔ぶが如く』は読んだことがありましたが、その他については、今まで読む機会がありませんでした。
ただ今年の夏、ふと「未来を知るためにも過去を振り返りたい」みたいな考えが頭に芽生え、そして手に取ったのがこちらの小説。
司馬遼太郎『関ヶ原』上・中・下巻
太閤豊臣秀吉の逝去に端を発した五大老筆頭・徳川家康と、五奉行の一人で秀吉の信頼が厚かった石田三成との抗争は、やがて全国各地へ飛び火し、各国の諸大名を東西軍に分け、天下分け目の合戦の地・関ヶ原へと駆り立てていく。
物語は徳川家康とその謀臣・本多正信、石田三成とその重臣・島左近の4人の人間模様と謀略戦を中心に描かれるが、その対立構図だけでなく、上杉・毛利・島津・鍋島・真田・長宗我部といった各地の有力大名の内情も述べてゆくことで、マクロな視点で関ヶ原の戦いへ至る情勢を描いている。
誰もが知る「関ヶ原の合戦」に至るまでの流れを描いた作品。
歴史小説の面白いところは、その結果が分かっていながらにして、「その時どう考え、なぜそうなったのか」、その作者の視点を通じて、一刻とその時を待つところ。
冒頭に「未来を知るためにも過去を振り返りたい」と書きましたが、まさにこの物語は、現代社会にも通ずる、人間の縮図のようなものを感じる事ができます。